お一人様にちょうどいい、絶妙サイズのパーソナルトレイ
越前漆器の塗師、山本英明さんがデザインした漆塗のパーソナルトレイです。「紅茶盆」という名前の通り、ひとり分のティーカップと、パンやケーキなどの軽食のせるのにぴったりな大きさです。
モノ・モノの定番トレイといえば、ケヤキの一文字盆を思い浮かべる方も多いでしょう。一文字盆はそば猪口とおにぎりの組み合わせが似合うのに対して、紅茶盆はティーカップとクロワッサンの組み合わせが似合います。漆のお盆らしからぬモダンなデザイン、軽食にぴったりなミニマルサイズ、持ち運びを考えた機能的な形の3つの要素があいまって、30年以上ロングセラーを続けています。
本体の大きさは幅30×奥行20cmほど。ソーサーつきのカップとケーキ皿がほどよく収まるサイズ。使ってみるとこれがじつに手頃で、朝食や軽食だけでなく、軽く晩酌するときや、お一人で来られたお客様にコーヒーとケーキをお出しするときなど、1枚あると何かと重宝します。
「布着せ」して塗装してあるから丈夫で長持ち
この絶妙なサイズ、綿密な検討の結果、導き出されたものかと思いきや、規格サイズの合板(3×6尺)を単純に20分割して生まれたものだそう。
「父は伝統的な漆器の技法を大切にする一方、合理的な精神も持ち合わせていて、お盆の木地には合板を積極的に用いていました。そのほうが反りにくいし、余分なコストもかかりません。伝統的な漆塗りの盆のように無垢材を使うと、この価格には到底、収まらないと思います。」
そう語るのは山本隆博さん。父、英明さんの跡を継ぎ、漆芸家として活動する一方、父が残したデザインも一部製作されています。隆博さんによると、合板を使ったメリットはもうひとつあるといいます。
「紅茶盆は持ち上げる際に指をかけやすいように、トレイの縁が持ち上がった形になっています。無垢材をこの形に削り出すと高くつきますが、合板だと段差が容易に作れます。この形だと何枚か積み重ねたときにずれないのもよさですね」
一方、塗りは伝統的な技が盛り込まれています。赤褐色の透き通った色合いは、溜塗(ためぬり)と呼ばれる技法。毎日使うと次第に色合いが明るなる経年変化が楽しめます。上塗りには希少な国産漆を使っているそうです。
また、表面をよく見ると、わずかに波打っていて、やわらかな印象になっています。これは布着せといって、木地の上に薄い綿の布を敷き、漆で塗り固める技法によるもの。鏡面のような仕上げではないため、細かい傷を気にすることなく、普段使いとして気楽に使えます。さらに「布着せすることで、傷みやすい角の部分が丈夫になっている」と隆博さん。
化粧箱入りなので、結婚祝や母の日などのプレゼントにも好適です。工房に在庫がないときは製作に3ヶ月ほど要します。
山本英明(やまもと・ひであき)
塗師
1940年福井県生まれ。15歳で職人となり、技術面で最高峰にのぼりつめるが、ふだん使いの漆器作りへ方向を転換。その後の漆芸家に大きな影響を与える。著書に『塗師屋のたわごと』(角川書店)がある。2010年に死去。現在は息子の山本隆博氏が工房を引き継ぎ、漆器制作を続けている。
- 作者
- 山本英明(デザイン)、山本隆博(製作)
- 素材
- 合板(漆塗)
- サイズ
- 幅30.3×奥行19.7×高さ1.7cm
- 重量
- 約325g
- 製造国
- 日本
- 注意事項
- ※極端に暑い場所や乾燥した場所で保管すると本体が反ってしまうので、ご注意ください。
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