欧米で愛好家が急増中。グリーンウッドワークの日本発ガイドブック
「グリーンウッドワーク」とは、乾燥していないみずみずしい生木を手道具で割ったり削ったりして、暮らしの道具を作る木工のこと。欧米発祥で、年々人気が高まっており、近年は日本でも注目を集めています。電動工具や大型の工作機械を使わないため、安全だし大きな音を出さずに作業できます。環境にも優しく、誰でもどこでも手軽に楽しめる、DIY向きの木工です。本書は、そんな「グリーンウッドワーク」の魅力とテクニックをたっぷり詰め込み、本格的に解説する日本初のガイドブックです。
主な道具や材料の紹介はもちろん、木の伐り方や割り方、斧とナイフの使い方、塗装方法などグリーンウッドワークをはじめる上で知っておきたい基礎知識をていねいに紹介。とくにナイフワークは、基本から応用まで13種類の削り方を豊富な画像とともに紹介しており、用途に合わせた削り方を学べます。
プロローグ
グリーンウッドワークとは、身近な森で伐ったばかりの乾燥していない生木を、手道具で割ったり削ったりして暮らしの道具を作る木工のこと。greenwood=生木、woodwork=木工、だからグリーンウッドワーク。他にgreen=エコロジカル、という意味もある。そのグリーンウッドワークが、いま世界的に人気だ。
人気の理由は、まず誰にでも楽しめること。木工というと、高価で危険を伴う木工機械を使ったり、大きな音が出たりするので、ちょっと敷居が高かった。でもグリーンウッドワークなら、鋭い刃物は気をつけて使う必要があるけれど、機械に比べて安全だし、大きな音も出ないし、誰でもどこでも楽しめる。
次に、身近な自然とダイレクトにつながれること。木でものを作るには、ホームセンターやDIYショップで四角く製材された木材を買わなければならなかった。でもグリーンウッドワークなら、近くの森に生えている木や、庭の手入れで切った枝など、目の前の木がそのままものづくりの素材になる。
そして、作ったものが毎日の生活で使えること。世界的に人気のアイテムはスプーンで、他に器や椅子なども。自分が作ったスプーンやお皿で、スープを飲んだりデザートを食べたりすると、なんだか嬉しい。そして、もっと美しく使いやすいものを作りたくなる。
暮らしの道具は、身近な素材から自分で作る。きっと昔はみんながそういう暮らしをしていたはずだ。だからグリーンウッドワークに親しんでいくと、日本や海外で昔から作られてきた暮らしの道具たちの、素材やデザインや技法にも興味がわいてくる。それもまた楽しい。
そう、グリーンウッドワークは古くからあるけれど、まったく新しい感覚の木工なのだ。この本は、日本で初めて本格的にグリーンウッドワークを紹介するガイドブックだ。著者がこれまで13年間にわたり、海外の一流のグリーンウッドワーカーとの交流や日本の仲間たちとの実践を通じて得てきた知識や技術を、わかりやすくお伝えしたい。さあ、グリーンウッドワークを楽しもう。
2019年8月
岐阜県立森林文化アカデミー 久津輪 雅
目次
- イントロダクション1 グリーンウッドに使う道具
- イントロダクション2 グリーンウッドに使う材料
- グリーンウッドワークの基本1 伐る技術
- グリーンウッドワークの基本2 割る技術
- グリーンウッドワークの基本3 斧の技術
- グリーンウッドワークの基本4 ナイフの技術
- 日用品を作る1 箸
- 日用品を作る2 スプーン
- [Special topic]イギリスのスプーンフェスから日本のさじフェスへ
- 日用品を作る3 豆皿
- 日用品を作る4 箸箱
- 日用品を作る5 スパイスボトル
- グリーンウッドワークの基本5 センと削り馬の技術
- [Special topic]「我谷盆」
- 日用品を作る6 我谷盆
- 日用品を作る7 子どもスツールと子ども椅子
- グリーンウッドワークの基本6 塗る技術
- グリーンウッドワークの基本7 研ぐ技術
- 著者
- 久津輪雅
- 発行元
- 株式会社学研プラス
- サイズ・ページ数
- 260mm×215mm・130ページ
- 発行年
- 2019年9月10日