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デザイナー紹介
モノ・モノの低座椅子シリーズをデザインした秋岡芳夫、豊口克平、柳宗理の略歴を紹介しています。豊口氏は、秋岡氏が産業工芸指導所に嘱託として勤務をしていたころの上司にあたり、秋岡氏の家具の設計思想に大きな影響を与えました。両デザイナーとも日本人の体格や生活風土を重んじ、すぐれたジャパニーズデザインを生み出しました。柳宗理も同時代に活躍した工業デザイナーであり、戦後日本のインダストリアルデザインに大きな功績を残しました。
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©堂六雅子撮影
秋岡芳夫
Yoshio Akioka1920年熊本県宇城市生まれ。東京高等工芸学校卒業。1953年にデザイン事務所 KAK(カック)を設立。消費社会の到来にいち早く警告を発し、“立ち止まったデザイナー”を名乗る。暮らしのデザイン、工作人間、裏作工芸、工房住宅といった持論を展開し、日本各地で手仕事を通じた地域再生に尽力した。東北工業大学工学部教授、共立女子大学生活美術学科教授を歴任。1997年没。
- 親子の椅子(1980年)
- 箱TATAMI(1985年)
- 男の椅子(1981年)
秋岡芳夫は1970年以降、プロダクトデザインの仕事から距離を置いていた。北海道旭川市の工芸センターの依頼で、1980年代に入ってから低座椅子の開発や畳のリデザインに関わるようになり、「男の椅子」、「親子の椅子」や「箱TATAMI」といったユニークな家具を生み出した。
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©秋岡陽/目黒区美術館提供
豊口克平
Kappei Toyoguchi1905年秋田県鹿角市生まれ。東京高等工芸学校卒業。1928年にバウハウスの理念に基づいたデザイン研究団体「形而工房」を結成、量産向けの家具作品を発表する。1933〜59年まで商工省工芸指導所に勤務。1959年に豊口デザイン研究室を開設。その後、桑沢デザイン研究所、武蔵野美術大学教授、日本インダストリアルデザイナー協会理事など歴任。1991年没。
- トヨさんの椅子(1955年)
- スポークチェア(1962年)
- ラタンの安楽椅子(1965年)
トヨさんの椅子は秋田県庁の応接間の椅子として採用され、初号は天童木工から発売された。スポークチェアはウィンザーチェアの背もたれの意匠をリ・デザインした、ジャパニーズチェアの名作。ラタンの安楽椅子は孔雀のような背もたれの張り方が美しい逸品。
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©YANAGI DESIGN OFFICE
柳宗理
Sori Yanagi1915年東京都生まれ。父は民藝運動の指導者、柳宗悦。東京美術学校(現・東京芸大)洋画科卒業。坂倉準三建築研究所を経て、1953年財団法人柳工業デザイン研究会を設立。台所用品、家具から公共建築まで幅広くデザインを手がける。金沢美術工芸大学工業デザイン科教授、日本民藝館館長などを歴任。1981年紫綬褒章、2002年文化功労者を受賞。2011年没。著書に『柳宗理エッセイ』(平凡社)がある。
- アームチェア(1978年)
- バタフライスツール(1956年)
- エレファントスツール(1954年)
柳宗理といえば、成形合板で作った「バタフライスツール」が有名だが、「エレファントスツール」のようなプラスチック製の製品や「アームチェア」のような無垢材のものまで、さまざまな素材の家具をデザインしている。
写真提供:天童木工、飛騨産業、ヴィトラ